PMID: 28081304
【背景】
現在,乳癌術後の患者において,アントラサイクリン系抗癌剤+シクロフォスファミド(AC療法)に続きタキサン系抗癌剤投与を行うのが標準治療となっている.
本研究では,筆者らはAC療法を安全に回避出来るか研究し,またパクリタキセルとドセタキセルの効果を比較した.
【方法】
この第III相非盲検ランダム化比較試験は日本国内の84施設で行われ,腋窩リンパ節転移陽性乳癌の術後女性患者が対象となった.
患者は以下の4群に分けられた.
・AC療法→パクリタキセル(175 mg/m^2)4コース(ACpT療法)
・AC療法→ドセタキセル(75 mg/m^2)4コース(ACdT療法)
・パクリタキセル8コース(PTx)
・ドセタキセル8コース(DTx)
※AC療法:ドキソルビシン(60 mg/m^2)+シクロフォスファミド(175 mg/m^2)4コース
主要評価項目は無病生存期間とした.
副次評価項目は全生存期間,有害事象とした.
筆者らは上記の4群を比較するため,2×2要因デザインを採用した.
【結果】
1060例の患者のうち,1049例がITT解析の対象となった.
無病生存期間についてはAC含有療法群とAC非含有療法群の間に非劣性を証明しなかった(HR, 1.19; 95% CI, 0.982-1.448 [P= .30]).
ドセタキセル含有療法群はパクリタキセル含有療法群に対して有意に無病生存期間(HR, 0.72; 95% CI, 0.589-0.875 [P = .0008])と全生存期間を延長した(HR, 0.75; 95% CI, 0.574-0.980 [P = .035]).
AC含有療法群では好中球減少,嘔気,嘔吐がより多く見られ,ドセタキセル含有療法群では浮腫がより多く見られた.
【結論】
AC含有療法群とAC非含有療法群の間において,無病生存期間の非劣性は証明されなかった.
また,同様のレジメンにおいて,ドセタキセルはパクリタキセルに比較して無病生存期間を延長させた.
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