2017年1月14日土曜日

DNAのメチル化が12種類の腫瘍関連microRNAの過剰発現と腫瘍の進展に寄与する

Pronina IV, Loginov VI, Burdennyy AM, et al. DNA methylation contributes to deregulation of 12 cancer-associated microRNAs and breast cancer progression. Gene. 2017;604:1-8.

PMID: 27998789

悪性腫瘍細胞内で遺伝子とパスウェイを過剰発現させる重要なものとして,「プロモーター領域のCpG配列のメチル化」および「microRNA(miRNA)と標的遺伝子のmRNAの相互作用」と言う2つの機序が知られている.
この研究の目的は,乳癌と関わりのある13種類のmiRNA(miR-124, -125b, -127, -132, -137, -148a, -191, -193a, -203, -212, -34b, -375, -9)の発現を変えるプロモーターのメチル化について解析することである.
これらのmiRNAの過剰発現に対するメチル化の役割は,これまでの乳癌の代表的セット内において調査されて来なかった.
我々は58組(腫瘍・正常)の乳腺組織検体を使い,9種類のmiRNA遺伝子のメチル化パターンにおける重要な変異を調べるためメチル化特異的PCRを行った.
特に,我々はMIR-127, -132, -193aの高メチル化とMIR-191の低メチル化を初めて観察した.
我々は定量PCRを用いて,プロモーターのメチル化と12種類のmiRNA(MIR-212を除く全て)の発現量の強い相関を導き出した.この発見はメチル化パターン変化の機能的重要性を示している.
また,我々は13種類のmiRNAと,それらの標的と考えられている5種類の腫瘍関連遺伝子(RASSF1(A), CHL1, APAF1, DAPK1, BCL2)の相関解析を行い,乳癌細胞の機能におけるこれらのmiRNAのmRNAに対する影響を調べた.
以下の3種類のmiRNAとmRNAの組み合わせにおいて,有意な負の相関を認めた.すなわち,
・miR-127-5p と DAPK1
・miR-375 と RASSF1(A)
・miR-124-3p と BCL2
である.
さらに,我々はMIR-127およびMIR-125b-1の高メチル化と乳癌の進展(特に転移)との強い相関を発見した.
以上より,我々の発見は乳癌における12種類のmiRNA遺伝子の過剰発現に対してメチル化が持つ重要な役割,機能的miRNA-mRNAの新しい組み合わせの可能性,またMIR-127とMIR-125b-1の高メチル化が乳癌転移のバイオマーカーとして有用である可能性を示した.

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